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建築工事について【基礎工事編】

 

皆さん、こんばんは!

なおやです。

 

今回から建築工事について書いていきたいと思います。

 

一口に建築工事といっても、その工程では様々な工種の工事があります。

そして、それは必ずしも目に付く部分だけではありません。

内装工事や塗装工事などは一般にもイメージしやすい一方で、基礎工事や躯体工事は

あまり理解されていないのが現状です。

それらをもっと知ってほしいという思いで、今回の記事を書いていきます。

 

今回は基礎工事編になります。

建物の土台を作る工事ですが、基本的に一般の方の目に入る部分ではありません。

ですが、全ての建物の工事に関わる工事なので、非常に重要なものです。

種類は大別すると、以下の種類に分けられます。

・土工事

・山留工事

・杭工事

 

これらについて簡単に書いていきます。

 

【土工事】

先ずは土工事についてです。

土工事は大きな重機を使って、地盤を建物の出来る高さに合わせて掘削していく作業を

主に行います。(これを【根伐(ねぎり)】と言います。)

一般に工事現場でよくイメージされる工事はこの工事ではないでしょうか?

土木工事 土工事 | 実績紹介 | 総合基礎工事土木工事 園川組

重機での作業が伴う為危険度が高い、根伐のレベルや位置を間違えると建物全体の

高さや位置が変わってしまうなど事前計画や確認が特に重要となる工事です。

また、大型重機と作業員が絡む工事の為、作業区画の選定などを緻密に行わないと

重大災害が発生する可能性もあります。

(毎年発生する建設業界の事故でも、割合としては10~15%を占め、項目としても3番目

辺りとなっています。)

 

工事現場付近でも、重機の騒音が近隣問題となったりする場合もあるので、現場外にも

気を配って作業を行う必要もあるので、その点でも計画が重要となります。

 

工事全体としては、目に見えない部分を掘っていくので、

・意図しない埋設物が見つかり対応に協議が必要な場合が出る。

・大きな岩などが埋まっていて工程通りに進まない

・雨天などの天候に左右される為、工程通りに進まない

等といった問題が起きる場合も多く、工事初期で実施する工事でありながら、非常に

全体工程に影響を与える工事であるとも言えます。

 

 

【山留工事】

次は山留工事です。

山留めとは、地盤を掘削する時に周辺地盤が崩れないように設置される構造物です。

土工事で地盤掘削を行っていくと段々と深くなっていきますが、そのまま掘っていくと

元の地盤部分が崩れてしましますよね?

そこで、写真の様に山留を設置して元の地盤が崩壊するものを防ぐわけです。

これが山留工事です。

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写真は山留工事の内の「親杭横矢板工法」というもので、

土中にH鋼という鉄骨を一定間隔で打ち込み、H鋼間に厚み30~50mm程度の木板を

入れ込むことで地盤崩壊を防いでいます。

他には鋼矢板工法やソイルセメント壁工法(SMW)といった工法が存在します。

各工法は地盤の強度や止水性、地下水位などを考慮して選定する必要があります。

 

山留設置完了後は、現場では日々変位測定を実施し大きな動きが無いか確認します。

特に台風などの大雨の後は土が流されて土中に空隙ができ、その部分が埋まろうとする際に山留に大きな土圧がかかります。

普段の計測で動きが特に無い様な山留ではその状況になっても崩壊することはほぼ無いですが、そうでなかった場合は一気に崩壊する恐れがあります。

勿論工事も止まりますし、作業員が巻き込まれて怪我や最悪命を落とす事にもなりかねません。

それを防ぐためにも変位測定を行うわけです。

 

方法としては

・トランシットを用いて決められた基準点と確認部のマーカー部の変位を確認する方法

・H鋼に対してピアノ線を張り、変位をスケールで確認する方法

の2つが主に用いられています。

 

トランシットを用いる方が精度は高いですが、設置できる状況が無い現場などでは

ピアノ線を用いる方法が使われています。

 

余談ですが、山留工事は工事費に金額は含まれるものの、

建物本体の工事には何の影響を与えるわけでもありません!

(あくまで作業環境を作る工事なので。。。)

 

その為、ゼネコン側としては工夫を凝らして工法や作業計画を検討することで

大きくコスト低減が期待できる工事でもあります。

 

但し、大きいリスクを抱える工事なのでこれ見よがしにコストを安くすることに

捕らわれず、正しい検討を行うようにして頂きたいですね。。。

 

 

【杭工事】

最後は杭工事についてです。

杭工事とは建築物を支えきる事が出来る杭を支持地盤まで築造する工事です。

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杭は土の中で施工する為、一般の方々が普段見ることはありません。

ですが、工事現場の仮囲いの外からでも見える大きな杭打機は印象に残る人も

多いと思います。

 

また、2018年にニュースなどでも話題になった、

三井住友建設の分譲マンション杭偽装問題」

で印象に残っている方も多いのではないでしょうか?

 

 

杭工事も事前の計画や地盤の知識の他、経験も非常に重要な工事です。

何しろ、目に見えない土の中で工事を行うのですから。。。

一見地味に見える工事ですが、杭工事は建築物を支えるうえで最も重要な部位であり、

工事を行う上でも重大な責任が伴う工事です。

 

工法の種類としては主に次の3つです。

アースドリル工法・・・地盤を掘ったり削ったりして穴を開け、杭打ちする方法です。           杭打ちのなかでも一般的な方法です。

 

オールケーシング工法・・・主に硬い地盤で使われる工法です。


鋼管回転圧入工法・・・鋼管杭に先端翼をつけ、回転させて杭打ちをする工法です。

 

杭の種類としては主に次の3つです。

木杭・・・木材の杭です。酵素を好む種類のもの(松など)が用いられています。

     常時湿潤状態を保つために、防腐処理を行ってから使います。

 

鋼杭・・・鋼製の杭です。鉛直、水平方向に大きな耐性を持つため、重量がある

     建築物や地滑りなどが起きやすい場所で使用されます。

     中にコンクリートを打ち込む場合もあります。

 

コンクリート杭・・・コンクリート製の杭です。主に軟弱地盤で使用されます。

 

工事監理としては、最終的に見えなくなる部分の施工ですから保管物も多くなります。

日々の工事写真や施工トルクデータの管理がとても重要になります。

 

携わる経験が少なくなりがちな杭工事ですが、他工種以上に専門性が要求されるので

工事担当者は入念な勉強や施工計画が重要です。

 ただ、やり遂げた達成感も大きい工種なのでそれを感じたい方は機会があれば

担当してみるのは如何でしょうか?

 

 

 

ということで、今回は基礎工事について書いていきました。

個人的な見解も入っていますが、工事を担当する方や一般の方に向けての知識としては

要点を押さえております。

 

このほかにも躯体工事や仕上工事についても同様に書いていきます。

また、一つ一つの工種についても後程、別の記事で詳しく書いていこうと思います。

 

ほかにも気になる事や知りたいこと、感想なども良ければコメントください。

 

ではまた!